point 5. つや出し(Polished)とつや消し(satin)の大きな違い |
日本製ピアノは木目の方が高額なのに対して、
ヨーロッパ製は黒艶出しの方が高額で販売されていることをご存知でしょうか。
@ なぜ日本製ピアノは木目の方が高額なのか
日本製ピアノは、ケースを楽器として考えて作られていないため、
蓋を閉じるとこもった音がして、開けると音が大きく聞こえます。
また、ケースに使われている材料はベニヤ板です。
商品にするためには、ザラザラの表面を厚い塗装で覆う必要があります。
よく目にする日本製ピアノのほとんどが黒つや出しであるのはそのためです。
木目の日本製ピアノを作るためには、出来上がったベニヤのケースに
木目の化粧板を貼らなければなりません。
化粧板の材料費と、貼り付ける手間の分だけ高くなってしまいます。
A なぜヨーロッパ製ピアノは黒艶出しの方が高額なのか
ヨーロッパ製ピアノは、ケースも楽器として考えられており、
蓋を閉じても開けても音はほとんど変わりません。ケースも振動させて、音を鳴らしているためです。
また、ケースも柔らかい木材で作られており、どのピアノも最初から木目が出来上がります。
つや出しにするためには、もともとの木目の上に何度も塗装を吹き付け、
ピカピカに磨きをかけなければなりません。
もともと木目だったものを黒つや出しにするには、そういった手間の分だけ高額になるのです。
B つや出しとつや消しの違い
ヨーロッパピアノを選ぶ際に、ピアノ本来の、喉を開いた気持ちの良い声を求めるのであれば、
つや消しのピアノをお勧めします。
ヨーロッパ製ピアノはケースも楽器として鳴るよう作られています。
塗装が薄いつや消しで仕上げてある事は、ケースが鳴ってくれるための大切な要素です。
普段話している日本語の特徴から、音の立ち上がりを聴くことに耳が慣れている日本人には、
一見つや出しのピアノの音色に輝きを感じる方が多いようですが、
音が伸びた2〜3秒後の発声を聴くと、こもった音になっています。
塗装は厚ければ厚いほど振動しにくくなり、鼻詰まりのような声になってしまうのです。
当店で、艶出しのピアノをほとんど扱うことがないのは、こういった理由からです。
※ 古い時代のピアノで、天然塗料を使った塗装であれば、つや出しでも抜けの良い気持ちの良い音がします。
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