@ ブランド名だけで信じてはいけない、ピアノ業界の実情
ひとむかし前の“偽ヨーロッパ製ピアノ”は、今よりは幾分判断しやすいものでした。
ヨーロッパ風のブランド名を付けた中国製、韓国製、三流の日本製ピアノや、
実在するブランド名を数文字だけもじった“偽ヨーロッパ製ピアノ”が主流でした。
ところが、現在の状況はかなり複雑です。
上記のような偽ヨーロッパ製ピアノに加えて、ピアノ業界に携わっていなければ知る由もない、
実状があるのです。
かつてはドイツ製として世界的に評価の高かったメーカーが、
経営破綻で他企業に買収され、ブランド名だけは残ったものの
中身は全く別の企業で製造されている
というピアノメーカーが、実は多数存在します。
実在したドイツメーカーの名前はそのままで、ロゴマークも変わることがないので
中身が違うとは知る由もありません。
こういったメーカーのピアノは、材料、製造の全てをアジア(日本以外)で行うようになり、
100%中国製、韓国製であるにもかかわらず、現在でも堂々と「ドイツ製」と謳って販売されています。
また、一流ブランドのピアノであっても、最近ではコスト削減のために
組み立てを中国で行ったり、一部の部品に中国製が使用されることが多くなりました。
材料も製造も100%ドイツ製のピアノは、随分減ってきました。
このような現状は、ドイツ国内でも問題視されています。
そして、自国の伝統楽器であるドイツ製ピアノの品質を守るために、
ドイツのピアノメーカーが一致団結して、
ドイツピアノ協会(Bundesverband Klavier e.V.) 略して「BVK」を立ち上げました。
(※↑クリックすると、ドイツピアノ協会のWEBサイトにて詳細をご覧頂けます)
認証制度により、100 % 「Made in Germany(ドイツ製)」
または 「Made
in Europe(欧州製)」
であることをドイツピアノ協会が保証します。
認定条件に準じ、認定取得を申請できるのは、
その100%がドイツもしくは欧州内で製造されたブランドに限られます。
こちらがBVK認証マークです。
今後日本でも確実に広がっていく認証マークです。
現在、BVK認証を取得している製造業者の一覧はこちらです。(2014.6.1現在)
Julius Bluthner Pianofortefabrik GmbH Bluthner(ブリュートナー)
Julius Bluthner Pianofortefabrik GmbH Haessler (ヘスラー)
August Forster GmbH August Forster(オーガストフォルスター)
Carl A. Pfeiffer GmbH & Co.KG Flugel-und Klavierfabrik Pfeiffer(ファイファー)
Steingraeber & Sohne KG Steingraeber&Sohne(シュタイングレーバーアンドゼーネ)
L. Bosendorfer KlavierfabrikGmbH Bosendorfer(ベーゼンドルファー)
GROTRIAN-STEINWEG GmbH & Co.KG Grotrian-Steinweg(グロトリアン シュタインウェヒ)
J.C.Neupert KG J.C.Neupert (ヨハン・クリストフ・ノイベルト)
The Petrof Company Petrof (ペトロフ)
Carl Sauter Pianofortemanufaktur GmbH& Co.KG Sauter(ザウター)
GROTRIAN-STEINWEG GmbH & Co.KG Grotrian(グロトリアン)
Fazioli Pianoforti srl Fazioli(ファツィオリ)
Carl Ronisch Pianofortemanufaktur GmbH Ronisch(レーニッシュ)
Carl Sauter Pianofortemanufaktur GmbH & Co.KG Sauter(ザウター)
Wilhelm Schimmel Pianofortefabrik GmbH Schimmel(シンメル)
FERD.THURMER Pianofortefabrik FERD.Thurmer(フェルディナント・テュルマー)
Seiler Pianofortefabrik GmbH Seiler(ザイラー)
※但しザイラー社は2008年より韓国の楽器メーカー「サミック」に所有され、サミックのピアノも販売しています。
また、「ヨハンネス・ザイラー」はインドネシア製です。商品をお選びの際にはお間違いのないようご確認ください。
偽ヨーロッパ製を専門的に扱う悪質業者の存在
法をうまくくぐり抜け、ヨーロッパ製部品を使ってアジアで製造したものを
ヨーロッパ製と偽って販売している業者やメーカーが存在します。
実際購入してしまわれたお客様のところに調律に行ってみると、酷いものの中には
チューニングピンがグラグラで、鍵盤もガタガタ。残念ながら調律不可能なピアノもありました。
運良く調律できたとしても、弾き心地、音色ともに、お客様の満足のいくところまで
到達させることができないピアノといえます。
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